"is coloratura"という作品について

お久しぶりです!
長らく制作の方に頭と体を使っていたせいで、ブログ更新をすっかり失念していました。。。

1年半ぶりとなる新曲「まざる」の投稿と、新譜『is coloratura』の頒布/配信を行いました。コンセプトアルバムとしては、今はもうこれ以上の物は作れないです。
ざっくりとですが自分なりの作品解説を記します。


一言で言えば、『is coloratura』という作品は「色を失った世界に、色を取り戻すための少女の旅」を描いた物語です。
「まざる」という楽曲は「世界が色を失い、少女が旅立つ決意をする」といういわば始まりの歌で、『is coloratura』の「CMY」は「現実世界の旅」を、「RGB」は「電脳世界の旅」を描いています。
ちなみに「CMY」ではミクが、「RGB」ではGUMIが歌ってくれていますが「まざる」でもそれぞれのボカロが歌い分けをしている箇所があることがお気付き頂けるかと思います。
コンセプトが下地にある作品として、そういった繋がりを至る所にちりばめてあります。

GUMIとミク以外にも、例えば「まざる」の初めの部分で楽器がユニゾンしている箇所、よく聴くとアコースティックピアノとデジタルピアノの掛け合いになっています。そして掛け合いの幅が徐々に短くなり最終的に2つのピアノが「まざる」ように変化します。
『is coloratura』で描いている物語は単なる少女の冒険ですが、その裏で描かれるのは「画面のこちら側の世界」と「画面の向こう側の世界」が繋がっていく様です。この作品に触れた方々がそれを実際に体験し、この作品がそのきっかけになればいいな…と思いながら作っていました。



・「まざる」について
『is coloratura』という物語の導入です。
これは、曲が形になる前のコンセプト企画の段階からeau. さんに動画をお願いしたいと思っていました。eau.さんの色彩感が大好きでしたし、何よりもコンセプトを大切に取り扱ってくれると感じたためです。そのため歌詞はかなり動的な仕掛けを意識した物になっています。お願いして本当に良かった。。。
あまりがっつり解説するとスペースが無くなってしまうのでやめておきますが、僕らの過ごす日常はくだらない物で構成されていて、けれどそれを失った時にその大切さが分かるんだ、という曲です。
曲に関しては「分かりやすいけど複雑」な物を意識して作りました。Aメロの7拍子やBメロサからビへのブリッジ、2サビ後の展開など小難しい感じはありますが、なるべくメロディは聴きやすく、サビは耳に残るようなものを目指しました。
コンセプトありきで物を作るのって中々難しい部分もあるのですが、動画でも歌詞でも楽曲でもかなりの部分で実現できたのでは無いでしょうか。
意識して何度も繰り返し動画を見て欲しいです。きっと発見があると思います。


ちなみに、この楽曲で初めてのドラムレコーディングに挑戦しました。satieさん本当にありがとう。
これは「画面のこちら/向こう側」が「まざる」 というコンセプトにとって結構重要な部分で、実はクロスフェードの冒頭でおれおさんにタイトルコールをして頂いた部分で、おれおさんと一緒にGUMIとミクもタイトルコールをしていたり、と『is coloratura』の様々な部分に関連しています。
そういえばクロスフェードの導入部分の数十秒を撮影するために朝5時からwasaiiさんと寒空の下粘りました。

本当に、色々な方々の力があって完成したんだなと、思います。


・「CMY」について
「現実世界の旅」についての物語です。
アルバムジャケットはおどりさん。これも、コンセプトの段階からお願いすることを決めていました。おどりさんの色彩感と画面の構成は昔からすごいなあと思っていて、こうして共同制作できたことが夢みたいです。
内容ですが、全ての楽曲においてそれぞれの色に対応するモチーフを楽曲中に用意しています。歌詞中にそれぞれの色名が隠れていたりと、細かい部分で気を使いました。
ちなみに、生楽器しか使わないようにしています。打ち込みもあるんですが、電子楽器を使っている部分は無い、と思います。
アルバムジャケットですが、CDプレスの会社へ伺って担当の方と直に会議をしながら制作を進めたかなりの力作です。
通販は→こちら


・「RGB」について
「電脳世界の旅」についての物語です。
同じくアルバムジャケットはおどりさん。「CMY」もそうですが、コンセプトに関する企画書をお渡しした上で制作を進めて頂いたのでジャケットにも様々な部分でコンセプトとの繋がりを見ることができるかと思います。
「CMY」と同じく、モチーフをそれぞれの歌詞の中に用意しています。あちらが生楽器ならこちらは電子成分多めなアルバムに仕上がっています。
そして、特設サイトをqkさんにお願いしました。控えめに言ってもヤバい出来のサイトだと思います。
http://mazaru.net/
こちらも随所にコンセプトが散りばめられてます。楽しんで欲しいです。


そして、クロスフェードに書いた意味深な文言についてですが。
「まざる」が旅の導入であれば、どこかしらに終着点があるはずです。
既に『is coloratura』を楽しんで頂いてる方はその場所を見つけてはいると思いますが
まだ扉は開かないので、その間旅を楽しんで頂ければな、と思っています。



と、いうのが今回の作品のざっくりとした解説です。
いやあ、書こうと思えばいくらでも書くことがあるので、書くこと選ぶのに時間かかりました!疲れた!


ちなみに今回のアルバムの裏テーマは、前作のアルバム『まざる』とのつながりです。
まず、そもそも今回の導入曲が「まざる」っていう部分からして明白なことですよね。
k_zero+Aがこんなに単純な曲名の動画を投稿したことってこれまで無いんじゃないでしょうか?(笑)

あとは、「CMY」「RGB」というのはそれぞれ「減法混色」「加法混色」という呼び方のされる色の混ざり方でして。詳しいことは各自おググり頂きたいんですが、「CMY」の減法混色は主に紙の印刷などで使われて「RGB」の加法混色は主にパソコンのディスプレイなどで使われる技術なんですね。
そんなところにも「現実世界」「電脳世界」のコンセプトが隠れてたりするんですが、実はこれらの色がまざると、「CMY」は黒色に、「RGB」は白色になるんです。
つまり『is coloratura』には白盤と黒盤が存在することになるんですが、、、とか。
こういう形にしたのは単なる遊び心というのもありますが、何よりもk_zero+Aの制作物として続き物にしたかったという気持ちがありました。


これまでボカロを使った活動を3年間続けてきて、そのうちの1年半を完全におやすみしていました。
それでもこうしてまた戻ってきた時に、やっぱり変わらぬ気持ちで制作をしたいという思いがありました。
もしかしたらこの先コンスタントに制作を続けることは難しいかもしれないけれど
それでもまた何かやるときには、変わらぬ気持ちで馬鹿なことをやりたいと思います。



最後に、このアルバムに関わった全ての方々に御礼を言わせて下さい。
本当にありがとうございました。
こんなにたくさんの人を巻き込んで作品を制作したのは初めてだったけれど、そのおかげでこんなにも素敵な物が完成しました。誰かひとりの力が欠けていたら、絶対に完成まで辿り着くことができませんでした。
そして、ここまで読んで下さった方。本当にありがとうございました。けっこう書いたつもりなんですけど、良く読みましたね…(笑)
本当に胸を張って「全力で取り組んだ」と言える作品です。ぜひ、お楽しみ頂ければと思います。

それではまた!!